2011年11月17日木曜日

わたしなりの発掘良品『ランド・オブ・アドベンチャー』(2008)

ランド・オブ・アドベンチャー(2008)
Carlston za Ognjenku
監督:ウロシュ・ストヤノヴィッチ


第一次世界大戦で村から男がいなくなり、なんとか帰って来た二人のうちの一人はよくわからない事情で墓石につぶされて死に、残った一人は葡萄畑を守るために働いて、葡萄畑を守るために葡萄畑を地雷原にしたところ、地雷の爆発で死に、以来、葡萄畑で働くことは命がけの作業になり、女たちはくじ引きで葡萄畑に行く者を決め、葡萄畑では面白いように爆発が起こり、腕のよさで知られた泣き女の美人姉妹はいかず後家となって朽ち果てる運命を知って涙を流し、処女のままでは死にたくないという理由で村に残ったたった一人のおじいさんの家を訪れ、おじいさんが不気味にすり寄ってくるのを見て悲鳴を上げ、この悲鳴でおじいさんが死んでしまうと村の女たちは姉妹を魔女となじって火あぶりにすることに決め、姉妹は火あぶりから逃れるために村へ男を連れてくることを約束し、村の魔女は約束を守らせるために姉妹の祖母の魂を迷わせ、旅の末に町を訪れた姉妹はそれぞれに男を見つけ出し、逡巡の末に村へ戻ると村中の女が現われて男に触り、女たちの歓待を受けて男たちは心を乱す。妙な邦題がついているが、原題は『オニエンカへのチャールストン』といったような意味であろう。オニエンカは姉妹の姉のほうの名前である。まず、手間のかかった撮影が非常に美しい。風景はひたすらにファンタジックで、話はおおむねにおいて寓話に近く、演出はときにコミカルなほうへと走りながら映画をセルビアの現代史へと回収していく。前半のパワーが終盤まで持続しないという点でやや力不足を感じたが、それでも見ごたえのある作品である。 
ランド・オブ・アドベンチャー [DVD]

Tetsuya Sato