2011年11月20日日曜日

わたしなりの発掘良品『砂漠のライオン』(1980)

砂漠のライオン(1980)
Lion of the Desert
監督:ムスタファ・アッカド


1920年代。イタリアはリビアを植民地としていたが、その東部に位置するキレナイカではベドウィンがしつこく抵抗を続けていた。そこでムッソリーニは冷酷非情なグラツィアーニ将軍を大軍とともに送り込む。ベドウィンの指導者オマル・アル・ムフタールがアンソニー・クイン、グラツィアーニ将軍がオリバー・リード、ムッソリーニがロッド・スタイガー、イタリアに寝返ったイスラム教父がジョン・ギールグット、ベドウィンの女がイレーネ・パパスというオールスター・キャストで、たいそう金がかかっている。話は1929年から1931年までで、グラツィアーニ将軍率いるイタリア軍が初めは砂漠で、さらに山岳地帯でベドウィンと戦う姿を描いている。本来ならば印象は逆になってしかるべきだが、ロッド・スタイガー、オリバー・リードの面白がっているとしか思えない熱演ぶり、誇大妄想を地で行くファシスト・イタリアの大見得切りまくりが目について、真面目なベドウィンが目立たないのである。イタリア軍はベドウィンの騎兵を相手に戦車、装甲車、航空機にイペリット・ガスまで投入する。イタリア軍の多彩な制服バリエーション、強制収容所、リビアの半ばを縦断する鉄条網というような部分まで抜かりなく折り込まれ、全体からすれば大味な作品だが、とにかく内容はぎっちり詰まっている。戦闘シーンも迫力があるので3時間は長くない。 
砂漠のライオン [DVD]

Tetsuya Sato