2011年11月27日日曜日

日曜日には鼠を殺せ

日曜日には鼠を殺せ(1964)
Behold A Pale Horse
監督:フレッド・ジンネマン


スペイン内乱の終結とともに共和国側の闘士たちはフランス側に亡命し、指導者であったマヌエル・アルティゲスもまた武器を捨てて国境を越える。それから二十年。アルティゲスはたびたび越境してスペインで銀行強盗を繰り返し、サン・マルティンの町の警察署長ヴィノラスはアルティゲスを捕えるために自分のキャリアを賭けて罠を仕掛ける。病身で余命いくばくもないアルティゲスの母親を病院に収容し、病院の周囲を狙撃兵で取り囲み、密告者をフランス側に送ってアルティゲスをおびき寄せるという計画であったが、当のアルティゲスは母親の病状を聞いてもいっこうに腰を上げようとしない、という話である。
二十年経ってもまだ人民の英雄をやっているアルティゲスがグレゴリー・ペックで、くわえタバコに無精ヒゲを生やしてすっかりふてくされている様子がなかなかによろしい。対する警察署長がアンソニー・クインで、こちらは真面目に仕事をする一方で情婦を抱え、なぜか妻のことを妙に恐れていたりする。話の大半は国境のあちら側のフランスで進行し、状況を読みきれないアルティゲスが苛々しながら煩悶し、善意のみで警告しにやってきたオマー・シャリフの神父を殴ったりする。やっていることは山賊の頭目と同じでも、いちおうマルキストなのである。ほとんど停滞したままのプロットがフレッド・ジンネマンらしいシャープな映像で描き出され、ときおり現われる大胆な視点の動きには思わずはっとさせられるが、とにかく猛烈に地味で渋い。
日曜日には鼠を殺せ [DVD]

Tetsuya Sato