2011年11月11日金曜日

わたしなりの発掘良品『ラスト・オブ・モヒカン』(1992)

ラスト・オブ・モヒカン(1992)
The Last Of The Mohicans
監督:マイケル・マン


フレンチ・インディアン戦争のさなか、イギリス軍マンロー大佐の二人の娘コーラとアリスは父を訪ねてヘンリー砦を目指していたが、途中、ヒューロン族の襲撃に遭遇、同行のイギリス軍部隊は事実上全滅する。二人はそこに現われたモヒカン族によって救われるが、これはチンガチュックとウンカスの親子、そしてチンガチュックの白人の義子ナサニエルであった。ナサニエルとモヒカン族の父子はコーラとアリスを砦に送り届け、ナサニエルとコーラは恋に落ちる。砦はフランス軍によって攻囲されて猛烈な砲撃を受け、やがてマンロー大佐は降伏を決意して砦をフランス軍に明け渡す。そして撤退するイギリス軍の隊列をヒューロンが襲い、マンロー大佐は殺害される。ヒューロンを率いるマグワはかつてマンロー大佐に家族を殺害された恨みを抱き、ただ大佐を殺すだけではなく、二人の娘の命も奪ってマンローの種を絶とうとたくらんでいた。その二人の娘は再びナサニエルとモヒカン族の父子に救われて脱出、マグワとその戦士たちが跡を追い、間もなく二人の娘はマグワの捕虜となり、ナサニエルは救出を誓ってモヒカン族の父子とともに姿を消す。
おもに先住民をかっこよく、植民者もそれなりにかっこよく、という方針のようで、イギリス軍はもっぱら殺されるためだけに登場するのが少しかわいそう。で、モヒカン族がやたらと強いのである。無類の走行性能と登攀性能を備え、銃を取れば前装式の滑空銃でとんでもなく遠くの標的に当てるし、腰だめで撃っても敵に当たるし、斧を構えて走り出すとどんな敵も瞬時にひっくり返るのである。こんなに強い部族がなんで最後の二人になるまで減ったのか、減ったからこんなに強くなったのか、よくわからないけどとにかく強いのである。とりわけモヒカン族の老父チンガチュックは無敵であり、クライマックス、チンガチュックとマグワとの決闘はほとんど一瞬で終わってしまうが、それでもこの映画の最大の見どころになっている。チンガチュックが持つ異様な形状をした巨大な戦斧は印象的であった。映像はとりあえずスタイルがあるが、説明的なだけで明らかに不要なカットが存在する。マイケル・マンは好きな監督の一人だが、バランスを取るのは上手ではない。音楽は主として情動に走り、戦闘シーンはかなり激しい。砦の攻囲戦はやや単調だが、それでもフランス軍の攻城塹壕、野砲、臼砲などのバリエーションは面白い。目配りは悪くないのである。ダニエル・デイ=リュイス扮するナサニエルことホークアイはまさしくホークアイという感じで、なかなかに精悍な役作りに成功している。マデリーン・ストーは実に美しいが、後れ毛が性愛の代替物のように目立ちすぎていて、これが少々煩わしい。 
ラスト・オブ・モヒカン [DVD]

Tetsuya Sato