2011年11月25日金曜日

わたしなりの発掘良品『大反撃』(1969)

大反撃(1969)
Castle Keep
監督:シドニー・ポラック


1944年の冬。バルジの戦いの直後のベルギーの森。少人数のアメリカ軍部隊がドイツ軍の攻撃を避けて奥深い森を進み、マントを翻して馬を駆る女を彼方に認め、その後を追うと古い城塞に行き当たる。そこはマルドレー伯爵の城で、森の中で見かけた女は伯爵の妻テレーズであった。アメリカ軍のファルコナー少佐(黒い眼帯をしたバート・ランカスター)は伯爵の城を防御のための拠点にする。すると副官の大尉はそもそも美術教師であったために城の美術に夢中になり、兵士の一人は城にあったドイツ製の車に夢中になり、パン屋の伍長は近くの町へ出かけていって、そこで見つけたパン屋の後家といい仲になる。そして少佐は伯爵の妻を寝取るが、夫としての義務を放棄している伯爵は少佐の行為を歓迎する。やがてドイツ軍が近づき、少佐は援軍を求めて白馬にまたがり、近くの町でアメリカ軍の敗残部隊を見つけ出す。だが彼らは狂った説教師(ブルース・ダーン)に指揮されており、ドイツ軍の攻撃の前には力がなく、やがて現われたドイツ軍戦車は教会に踏み入って鐘楼を破壊する。そして少佐は部下とともに城にたてこもり、ドイツ軍は真っ赤な消防車まで動員して城を攻める。ミッシェル・ルグランの腑抜けた音楽、通俗的な頽廃趣味とインテリぶった無常観が全編に漂う変わった戦争映画である。雰囲気を重視したせいか、結果としてはプロットをまとめきれていない。そこから先は趣味の問題ということになるのだろうが、悪趣味を買いたいという気持ちが勝ってしまって、実を言うとわたしは好きなほうなのである。
大反撃 [DVD]

Tetsuya Sato