2011年11月1日火曜日

わたしなりの発掘良品『ジャングル・ジョージ』(1997)

ジャングル・ジョージ(1997)
George of the Jungle
監督:サム・ワイスマン


アフリカの奥地でゴリラに育てられたジョージはジャングルの王となり、そこへやってきたサンフランシスコの富豪の娘に恋をする。ところがこの富豪の娘には自称金持ちでハンサムで知的な婚約者がいた上に、その婚約者にはあきらかにたちの悪い二人組がはりついていた。どちらかと言うとストーリーは脇に置いて、馬鹿をしでかすことに重点を置いた映画である。ナレーションは平然と物語に介入するし、物語の登場人物はナレーションの介入に憤慨する。文明に毒された「白人」はひたすらに時代錯誤をしているし、「黒人のポーター」はその時代錯誤を意地悪く笑い続ける(魔法の絵とか言ってポラロイドを出すと、ライカの35ミリで反撃される)。アフリカの奥地の動物たちもまた激しく文明に汚染されているし、アフリカの奥地には絶対いない筈の動物がいくらか紛れ込んでいる。ゴリラは言葉を喋るし、卵をゆでる時にはゆで卵用の時計をちゃんと使っているようだし、そういうことで見世物になると判断されて悪いハンターがやってくると、ハンターたちの目の前には似たようなゴリラが五匹も出現するのである。「どのゴリラだ?」「チェスをやってるやつだ」といった間抜けな台詞はかなり多い。わたしの好みの映画であった。それからいささか意外なことに、主役のブレンダン・フレイザーがかわいらしい。つまり、あまり暑苦しくないのである。これだったら馬とたわむれるジョージの姿に上流階級の娘たちが見とれて、「官能的知性よね」と頷くのも決してわからないでもないのである。 
ジャングル・ジョージ [DVD]

Tetsuya Sato