2011年11月24日木曜日

わたしなりの発掘良品『プロデューサーズ』(2005)

プロデューサーズ(2005)
The Producers
監督:スーザン・ストローマン


50年代のブロードウェイ。落ち目になったプロデューサー、マックス・ビアリストックの帳簿を整理するために現われた会計士レオ・ブルームは打ち切りになったミュージカル『ファニーボーイ』(ハムレットが原作らしい)の帳簿を調べるうちに赤字になっても多額の利益を生み出す図式に気がつき、それを聞いたマックス・ビアリストックはレオ・ブルームを仲間に引き入れ、確実にこけるミュージカルを仕立てて上げるために、まず最悪の台本を探し、次に最悪の演出家を探し、できあがった芝居を舞台にのせるとこれがなぜか大当たりで、というお話で、オリジナルはメル・ブルックスによる1968年のミュージカルだという。妙にやぼったくてひどく下世話なところはたしかにメル・ブルックスである。途中に挿入される歌と踊りはもしかしたらブロードウェイ上演当時でもややクラシックだったのではないか、という気がするが、裏を返せば正攻法ということであり、盛りだくさんの内容を正直な演出でやっているので見ていて退屈することはない。ネイサン・レイン、マシュー・ブロデリックはいつもどおり芸達者だし、ユマ・サーマンまで歌って踊る。最大の見どころは劇中劇として登場するミュージカル『春の日のヒトラー』で、突撃隊がタップを踏み、親衛隊が歌って踊るばかばかしさはかなり壮絶である。難を言えば、ここがあまりにもすさまじいので結果としてまわりがかすむという点であろう。 
プロデューサーズ コレクターズ・エディション [DVD]

Tetsuya Sato