2011年11月22日火曜日

わたしなりの発掘良品『1984』(1984)

1984(1984)
Nineteen Eigty-Four
監督:マイケル・ラドフォード


ジョージ・オーウェルの『1984年』の映画化。世界は三大勢力によって分割されて常に戦争状態にあり、独裁国家オセアニアは「党員」と「プロレ」の二階級に分割され、「党員」は国家のために一切を奪われ、「プロレ」に人間性は認められていない。そしてビッグブラザーはあらゆる場所に配置された双方向テレビを通じて一切を見ているのである。だがあるとき、党員ウィンストン・スミスは白紙のノートを手に入れたことで自我の存在を思い出し、堕落を夢見ながら未来に向かって挨拶を送る。そうしていると堕落を実現している女が前の方から現われて夢の世界に誘うのであった。
わたしの友人はこの映画について「オーウェルはよい原作を書いた」と評していたが、まさにそのとおりであって、原作以上に原作が求めていた世界が描き出されている。ジョン・ハートはウィンストン・スミスに生き写しであり、これが遺作となったリチャード・バートンはまるで死神のように見える。そして背景となる世界はうんざりするほど徹底したリアリズムによって実に見事に再現されているのである。 
1984 [VHS]

Tetsuya Sato