2012年5月30日水曜日

ロスト・チルドレン

ロスト・チルドレン
La Cite des Enfants Perdus
1995年 フランス 112分
監督:ジャン=ピエール・ジュネ

半ばまで水に浸かって錆が浮き出したような陰鬱な町で子供たちがさらわれていく。サーカスの怪力男ワンの弟も誘拐され、ワンは弟を探すうちに少女ミエットと出会い、ミエットの協力で手がかりをつかみ、沖に浮かぶ謎の研究所を目指して進んでいく。
異様なキャラクター、港湾施設を含む巨大な町のセット、マッドサイエンティストの研究所のセットとそこを埋め尽くす様々なギミックに目を奪われ、ミエット役の美少女ジュディット・ビッテにも目を奪われる。視覚的に目を奪われることの多い映画だが、これはもしかしたら監督の功績ではなくて、美術とキャラクター・デザインを担当したマルク・キャロの功績かもしれない。ジャン=ピエール・ジュネの演出は生真面目ではあるがリズムを欠き、コミカルな場面でもしばしば勢いを殺している。とはいえ、ていねいに作られた立派な映画であることは変わらない。おとなとタイマンを張るジュディット・ビッテの迫力はとにかく見物。孤児院を仕切る悪い双生児の老婆(オディール・マレ、ジェヌヴィエーブ・ブリュネ)の怪演も見物。怪力男ワンがロン・パールマン、怪優ドミニク・ピノンが一人七役で登場し(とはいえ、そのうちの六人は区別がつかない)、ジャン=ルイ・トランティニヤンが脳味噌(ジェイムスン教授みたいなやつ)の声を担当している。




Tetsuya Sato