2012年5月3日木曜日

神々と男たち

神々と男たち
Des hommes et des dieux
2010年 フランス 120分
監督:グザヴィエ・ボーヴォワ

アルジェリアのとある村の近くに植民地時代から続く修道院があり、そこでは高齢者ばかりの修道士がいたってつつましやかに労働と祈りの日々を送り、村の人々とも好ましい関係を築いていたが、村の人々が国内の治安の乱れについて話し、武装した過激派が姿を現わし、近くでクロアチア人が殺害される事件が起こるので修道士たちは不安におののき、それでも修道士たちを束ねるクリスチャン修道士は軍隊による護衛を断り、修道院に現われた過激派を穏やかな言葉によって追い返し、そうしながらなおも日々を送ると情勢はさらに悪化し、フランス内務省からは帰国命令が届けられるが、クリスチャン修道士はみずからの意志を確かめて命令を拒絶し、残る修道士たちも逃げ出すことのむなしさを思って修道院に残る決意をかため、なおも淡々と日を送る。
1996年に実際に起こった武装勢力による修道士殺害事件の映画化。修道士たちの生活を静謐のなかに描き、その淡々とした静けさのなかで絶望と戦いながら意志をかためていく様子は厳粛で、心が洗われるような気持がする。抑制された演出と俳優たちの忍耐強い演技がきわめて強い印象を残す作品である。 


Tetsuya Sato