2012年5月26日土曜日

マイレージ、マイライフ

マイレージ、マイライフ
Up in the Air
2009年 アメリカ 109分
監督:ジェイソン・ライトマン


ライアン・ビンガムは解雇通告を専門とするオマハの企業に勤務して年間の大半を出張で過ごし、アメリカン航空のマイレージを一千万マイルためることを目標に据え、全米各地を訪れて見知らぬ相手に解雇を通知し、モチベーションにかかわる講演では演壇に立って自分の人生がいかに身軽であるかを話していたが、その人生に自分と同類であるかのように見える女性アレックス・ゴーランが出現するとゆきずりのはずの関係をあとに引きずり、会社では女性社員ナタリー・キーナーがネットを利用した解雇通告を主張すると反発し、ナタリー・キーナーが新人であることを理由に業務への無理解を主張するとナタリー・キーナーの研修をまかされ、二人で各地を訪れているうちにナタリー・キーナーの若々しくて凡庸な価値観に触れ、気の合うアレックス・ゴーランとの再会と別れを繰り返して寂しさを味わい、察するにそのせいであろうか、それまで顧みなかった自分の家族のことを思い出し、アレックス・ゴーランを誘うと妹の結婚式に出かけていって、そこで状況に強いられて人生の伴侶の価値について話すことになり、察するにそれでいよいよ寂しさがつのることになったのか、自分もまた人生を少し重たくしようと考えてこどもじみたふるまいに走り、ありそうな現実から反撃を食らう。
精神の変転を経験する主人公をジョージ・クルーニーが好演し、アレックス・ゴーランを演じたヴェラ・ファーミガ、ナタリー・キーナーを演じたアナ・ケンドリックがいずれも魅力的で、ジェイソン・ライトマンによる丹念な演出が心地よい。この監督は俳優の使い方が非常にうまいと思う。淡々とした作品ではあるが、見ごたえがあった。 






Tetsuya Sato