2012年5月10日木曜日

キング・コング(1933)

キング・コング
King Kong
1933年 アメリカ 100分
監督:メリアン・C・クーパー、アーネスト・B・シュドサック


ジャングル映画または猛獣映画の監督カール・デナムはノルウェイ人から東インド諸島の怪しい海図を手に入れて、それをもとに謎の島を訪問して恐るべき怪物の姿をフィルムに収めようと企んでいる。そのために船も船員も武器も用意して、怪物が出現したら悲鳴をあげさせるために金髪の女性も確保する。つまり女優の卵のアン・ダローが下町の八百屋で万引きをして捕まったところをスカウトし、ニューヨークを出発して数週間、問題の島に到着すると原住民はすでに儀式を開始していた。コングに花嫁を捧げようとしていたのだが、デナムとその一行に儀式を穢されたと考えた呪術師は代わりの花嫁としてアン・ダローを要求する。もちろんデナムとその一行は文明人なので、「土人の女6人」という相手の申し出には見向きもしない。そこで原住民は夜間に実力を行使してアン・ダローを誘拐し、コングに捧げる。コングはアン・ダローを抱えて森の奥へ遁走し、ジャック・ドリスコル以下船員たちは武器を手に手にジャングルを中へと分け入っていく。ジャングルはもちろん恐竜天国で、アン・ダロー一人のために1ダースもの船員が命を落とし、アン・ダローはジャック・ドリスコルの手で救われる。コングは逃げ出した二人を追ってまた現われるが、カール・デナムの投げたガス弾の餌食となって昏倒し、ニューヨークに連れ去られて見せ物にされる。そしてなんとか鎖を切って逃げ出すものの、アン・ダローを抱えてエンパイア・ステート・ビルにのぼったところで飛行機の機銃掃射を浴びて蜂の巣にされる。だが野獣を殺したのは飛行機ではない。美女が野獣を殺したのである。
映画本来の機能にまったく疑問を抱いていないという点で、歴史に残る傑作である。






Tetsuya Sato