2011年10月16日日曜日

キャプテン・アメリカ ザ・ファースト・アベンジャー

キャプテン・アメリカ ザ・ファースト・アベンジャー
Captain America: The First Avenger
2011年 アメリカ 124分
監督:ジョー・ジョンストン

第二次大戦下のアメリカでブルックリン出のスティーブ・ロジャースは祖国に貢献するために兵役志願を繰り返すが、貧弱な体格と虚弱な体質を理由にその都度却下され、それでも果敢に繰り返すと、その果敢さが認められて科学研究予備部隊に属するアースキン博士から声をかけられ、ついに兵士となって訓練に参加するが、やはり虚弱なのでいわゆる訓練からは脱落気味で、それでも果敢なので怪しいスーパーソルジャー計画の候補に抜擢され、怪しい血清を打たれ、怪しい波動を浴びることで超人的な運動能力を備えたたくましい肉体を獲得し、キャプテン・アメリカとなってUSOの戦時国債販促キャンペーンに送り込まれ、USOの慰問でイタリア戦線を訪問し、そこでアメリカ兵多数がドイツの怪しい機関ヒドラによって捕虜となっていることを知ると、単身ヒドラの拠点に乗り込んで捕虜を解放し、ヒドラの領袖でドイツとは無関係に世界征服をたくらむシュミットの野望に挑戦する。
キャプテン・アメリカは『スコット・ピルグリム』でルーカス・リーを演じていたクリス・エヴァンズ。特殊部隊の大佐がトミー・リー・ジョーンズ、悪役シュミットがヒューゴ・ウィーヴィング。
比較的シンプルなプロットに対してシチュエーションとキャラクターがややインフレ気味で、それを消化するためにそれなりのテンポで話は進むが、不思議なことにあまり盛り上がらないまま終盤を迎える。トミー・リー・ジョーンズはほぼ、いるだけの存在で、悪役のヒューゴ・ウィーヴィングもあまり存在感を発揮していない。主役のクリス・エヴァンズもなぜかそれほど目立たないのである。察するに、これはキャプテン・アメリカという存在が戦場に回収され、あきらかに兵士として行動する一方、兵士としてのスケールを特定できていない、というところに問題があるのではあるまいか。つまり、いちおう主人公の活躍を描いてはいるが、戦場というばらけた場所をひどく駆け足で動くせいで、主人公が活躍している場面がはっきり見えてこない。やっていることは『ヨーク軍曹』とあまり変わりがないように見えるし、そういうことならば主人公のキャラクターにじっくりと集中した『ヨーク軍曹』のほうが、仕上がりはやはり上なのである。戦場、兵士、ヒーローといういかにもな組み合わせが、いわゆるコミックヒーローとはうまく結合しないという結果を示した映画だと思う。 


Tetsuya Sato