2011年10月21日金曜日

わたしなりの発掘良品『サルート・オブ・ジャガー』(1988)

サルート・オブ・ジャガー(1988)
The Blood of Heroes/Salute of the Jagger
監督:デヴィッド・ウェッブ・ピープルズ


西暦2200年。文明は崩壊して地表ははなはだしく荒廃し、人々は貧しく哀れな生活を送っていた。楽しみと言えばちょっぴりホッケーを思わせる荒っぽい「ジャガー」の試合だけ。主人公サルーは旅のジャガー・プレイヤーで、村々をまわりながら地元のチームとプレーをして日々の糧を稼いでいたが、地下深くに残された文明社会「レッドシティ」のリーグに挑戦するために、仲間を引き連れてどこまでもどこまでも降りていくことになるのである。まず、この「ジャガー」というゲームが単純ながらよくできている。時計すら壊れてしまった世界でどうやって試合時間を計測するか、というところまで、きちんと考えてあるし、その仕組みがクライマックスで効果的に使われている。脚本がよく出来ていて、無駄がないのだ。試合の場面はスリリングで、実に見ごたえがある。荒廃した世界の描写も丁寧で好感が持てるし、ロケ地もよく検討されている。魅力的な場面に恵まれた映画で、砂漠の只中でエレベーターに乗り込んで「レッドシティ」へ降下していく場面は衝撃的であったと言ってもいいくらいだ(エレベーターの格子戸の向こうで地下の風景が下から現われては消えていく。眠って、また目覚めてもまだ途切れずに続いている)。到着してからの地下世界の風物も素晴らしく魅力的で、白状すると、わたしはこの映画が与えたいくつかのビジュアル・イメージからまだ脱却できないのである。傑作。 
サルート・オブ・ザ・ジャガー [DVD]

Tetsuya Sato