2012年8月25日土曜日

プロメテウス

プロメテウス
Prometheus
2012年 アメリカ/イギリス 124分
監督:リドリー・スコット

太古の地球になにやらがやってきてアイスランドの滝壺にDNAをばらまいてから幾星霜、スコットランドのスカイ島で有史以前の壁画が発見され、科学者はそこに記された星座のパターンが人類への招待状であると根拠もなしに思い込み、ウェイランド社がつまらない理由で出資した宇宙船プロメテウスに乗り込んで問題の惑星を訪れてみるとそこには未知の知性によって作り出された建造物があり、これこそ人類を作り出した知性体の存在のあかしであると考えた科学者は問題の知性体がそこですっかり全滅していることを知り、これでは人類の存在に関する答えが得られないと考えておよそ科学者らしくもなくすみやかに関心を失い、一方プロメテウスに乗り込んでいたウェイランド社のアンドロイドは例によってあやしい行為にふけり、未知の有機体を科学者に与えるようなことするので未知の有機体を与えられた科学者は変形を始め、おれはもうだめだあ、などとうろたえたことを叫びながらあたりをうろつき、来ないでえ、などとうろたえたことを叫ぶシャーリーズ・セロンによって丸焼きにされ、その科学者と交接をおこなったヒロインはいきなり妊娠して帝王切開で怪物を生み、冷凍睡眠槽から目覚めた人類の生みの親は人類に対して暴力をおこない、その有様を目撃して人類の生みの親が人類の抹殺をたくらんでいると根拠もなしに思い込んだヒロインは人類の生みの親が宇宙船で飛び立つのを見て、あれをとめなければ、などとうろたえたことを叫ぶので、プロメテウスが決死の体当たり攻撃をしかけていく。
脚本がまるっきりTHE ASYLUMみたいですよ、と教えてくれたひとがいたが、実際、脚本がまるっきりTHE ASYLUMみたいなのであった。ぼんくらな脚本にぼんくらな登場人物、ぼんくらな演出に加えて格別ぱっとしない映像、ということになるとトニー・スコットが橋から身を投げたのはもしかしたら兄が作ったこの映画のせいではないかと思いたくなる。マイケル・ファスベンダーのアンドロイド演技を除くと、はっきり言って見るべきところはなにもない。マイケル・ファスベンダー扮するデイヴィッド君が最初から最後までピーター・オトゥールの真似をしているとか、エンジニアの基地の真下に高価な希少金属かなにかが見つかってエンジニアを放り出しながら思い切り掘り始めるとか、不自然な老けメイクをしたガイ・ピアースが「わたしはおまえの父親なのだ」と宣言するとシャーリーズ・セロンが「NOOOOOOOOOOO!」と叫ぶとか、せめてそのくらい破綻してくれていたらもう少しましな映画になったであろう。 





Tetsuya Sato