2012年8月13日月曜日

遊星からの物体X ファーストコンタクト

遊星からの物体X ファーストコンタクト
The Thing
2011年 アメリカ/カナダ 103分
監督:マシーズ・ヴァン・ヘイニンゲンJr.

1982年、南極でノルウェイの越冬隊が氷に埋もれたUFOとエイリアンの死体を発見し、ノルウェイの関係者は箝口令(なぜ?)をしいた上でアメリカから古生物学者ケイト・ロイドを南極に呼び寄せ、察するにマクマード基地から飛び立ったアメリカのシーキングがケイト・ロイドをノルウェイの基地に運び、そこでケイト・ロイドは秘密を明かされて氷漬けになったエイリアンの死体を掘り出して基地に運び、ノルウェイの越冬隊が大発見を祝っているとエイリアンが氷を割って復活する。
1982年のジョン・カーペンター版の前日譚で、だからカート・ラッセル一行がノルウェイの基地であとで見物することになるあれやこれやのつじつま会せをしながら「物体X」をすることになり、このつじつま合わせのせいでいろいろと苦しいことになっている上に、ノルウェイ隊の話ならばそっくりノルウェイ人にまかせればよいものを、主要登場人物をアメリカ人にしなければならない、という、察するに製作上の苦しさ、というか不自然さも加わって、なんというのか微妙に落ち着きのない内容になっているものの、そうした欠点(ひどく目につくわけだけど)を除けば仕上がりは水準をクリアしている。ただ、演出は生真面目一点張りで、当然ながらジョン・カーペンター的な茶目っ気はないし、「物体X」の造形もクォリティは高いものの、ロブ・ボッティンが作り出したようなアナログ的な雑音はない。 いまひとつ喜びがないのはたぶんそのせいであろう。



Tetsuya Sato