2012年8月30日木曜日

未来惑星ザルドス

未来惑星ザルドス(1974)
Zardoz
監督:ジョン・ブアマン

未来。文明は崩壊して大地は荒廃し、多くは退化して野獣のように廃墟をうろつき、わずかな者が永遠の生命を得て楽園で暮らしている。だがある日、その楽園に武器を持った野蛮人が入り込み、ユートピアのように見えた永遠の牢獄を破壊して死と再生をもたらす。野蛮人がショーン・コネリー、再生するのがこの世のものとも思えないほど美しいシャーロット・ランプリング、死ぬのはその他大勢である。
ディストピア・テーマの定型にポップカルチャー的な象徴表現を持ち込み、セックスを前景に仕立てたかなり過激な内容になっている。繰り返して出現する性的な象徴は洗練された映像表現としてよりも演劇的な約束として実現されており、そのせいで安っぽく見えなくもない。とはいえ実験精神は豊富だし、ジョン・ブアマンという作家の語り口が実に豊かなので退屈することはないのである。物語の機能としてのストリップティーズが着実に観客に作用するという点で見ていて心地のよい作品であり、最後には滅多にないほどの感動が味わえる。ジェフリー・アンスワースの撮影による壮大無比の空間処理、飛行する巨大な石の頭、その口から吐き出される無量の武器といったファンタジックな描写は一見に値する。 



Tetsuya Sato