2013年4月26日金曜日

収容所惑星

プリズナー・オブ・パワー 囚われの惑星
Obitaemyy ostrov
2008年 ロシア 119分
監督:フョードル・ボンダルチュク

人類が医学的に改良された22世紀の未来で二十歳の若者マクシムは単座の小型宇宙船で格別の考えもなしに宇宙探査の旅に出て、隕石と衝突してとある惑星に不時着すると、いきなり銃を向けられて逮捕され、ガイと名乗る兵士に護送されて都市へ移され、そこで怪しい方法で記憶を探られているうちに怪しい機関の手で解放され、別の場所へ移送される途中で護送担当者がいきなり口から泡を吹き、都市住民はその様子を見て騒然となり、どさくさに紛れてその場から逃げ出したマクシムはラダと名乗る娘と出会い、これがガイと名乗る兵士の妹で、マクシムはラダの家でガイと再会し、ガイの推薦で親衛隊に入隊し、訓練では資質を示してミュータント狩りに駆り出され、ミュータントを尋問する様子を見て疑問を抱くと上官に反抗して胸に数発の銃弾を受け、医学的に改良されているので傷はすぐさま自然に治癒して今度は反政府組織の一員になり、政府が怪光線で国民をあやつっていると聞いたマクシムは先頭に立って怪光線の発射施設の攻撃に加わり、逮捕されて矯正施設に送られるとそこで反政府組織のメンバーと出会って新たな情報を仕入れ、抑圧的な体制を倒すために脱走して廃墟に住むミュータントの一派に決起を促し、断られると隣国を訪れるために空路を進んで撃墜されて懲罰部隊に送り込まれ、隣国との戦争の最中に例の怪しい機関の手で都市へ移されて研究所でなにやら仕事のようなことをしていると政治的に追い詰められた権力者から声がかかって怪光線発射施設の破壊を持ちかけられるので、言われるままに乗り込んでいって施設を破壊すると国民は洗脳状態からいちおう解放されるが、いずれにしても格別考えた上での行動ではなかったので、その事実を指摘されるとぼくがなんとかすると居直って愛に逃げ込む。 
監督は『アフガン』のフョードル・ボンダルチュク。ストルガツキー兄弟の『収容所惑星』の、あまりよく覚えていないけど、妙にふらふらしている部分も含めておおむね忠実な映画。オープニングのタイトルがグラフィックノベル風に仕上げられていて(しかもなぜか効果音がカタカナで「ドドド」とか「ギー」とか書いてある)、その様子から判断するといったんコミック化を経たあとの再話という形で考えたほうがおそらくわかりやすい。セットやエキストラなどを見るとかなりお金がかかっている気配があって、プロダクション・デザインなども頑張っているし、洗脳戦車に督戦された囚人戦車部隊の突撃などというけったいなシーンも登場するが、演出は全体に即興が目立ち、手間を惜しんだテレビ映画を見ているような気分になる。 


Tetsuya Sato