2013年4月25日木曜日

ダイダロス 希望の大地

ダイダロス 希望の大地
Myn Bala
2012年 カザフスタン 133分
監督:アハン・サタエフ

察するところ18世紀中葉、オイラト系のジュンガルの侵攻を受けたカザフの民はジュンガルに隷属するか遊牧地を明け渡して山間部に逃れて生き延びていて、そうした状況でジュンガルに村を襲われて父親を殺されたサルタイは成長すると仲間とともに草原へ出かけてジュンガルを狩り、なにしろカザフなのでそのようなことをしている人びとがどうやらほかにもたくさんいて、そのような流れに乗って結束のないカザフが結束をかためて一万五千の軍勢をそろえてジュンガルを討とうとたくらむので、ジュンガルも二万の兵士をカザフの軍勢に差し向け、圧倒的に優位に立ったジュンガルによってカザフが押されているところへもろもろの苦悩をかなぐり捨てたサルタイが百騎を率いて戦場を駆け抜け、ジュンガルの本陣に肉薄する。 
まじめに書かれた脚本をまじめに撮ってまじめに作った映画で、抜きん出たところはないものの、余計なところはほとんどないし、手間を惜しんだようなところはどこにもない。カザフやジュンガルの風俗が魅力的で、馬が実にあざやかに走り、弓矢が見たこともないほどなまめかしい弧を描いて宙を駆ける。クライマックスの集団戦闘はやや抑え目の演出になっているが、そこに至るまでの草原における少人数の戦いは実にスタイリッシュでかっこいい。騎馬による機動戦ぶりも半端ではなくて、ジュンガルの軍勢が鉄砲や弓で防御陣を敷いていても被弾するのを盾でかわして、馬上から弓を射返しながら一気に防御陣を突破する、という場面はちょっと恐れ入った。 それにしてもこの意味不明の邦題はいったい誰が考えたのか。



Tetsuya Sato