2013年4月17日水曜日

終着駅 トルストイ最後の旅

終着駅 トルストイ最後の旅
The Last Station
2009年 ドイツ/ロシア/イギリス 112分
監督:マイケル・ホフマン

トルストイの偶像化をたくらむトルストイ主義者のチェルトコフはトルストイ主義者の青年ワレンチン・ブルガーコフをトルストイの秘書に任命するとトルストイ伯爵夫人を敵視して伯爵夫人ソフィアの言動を監視するように要求し、ワレンチン・ブルガーコフがヤースナヤ・ポリャーナを訪れると伯爵の屋敷の前ではカメラがまわり、会話はつねに記録されているという有様で、チェルトコフを敵視する伯爵夫人はチェルトコフが夫に対して作品の著作権を放棄するように求めていると知って興奮し、伯爵本人は農民のかっこうをして粗末な寝台で休息を取り、トルストイ主義者の村では愛が演出される一方で性的交合が抑圧を受け、ワレンチン・ブルガーコフは自我と主義がからまる場所で緊張してくしゃみを繰り返し、妻が与える緊張に耐えられなくなったトルストイは深夜自宅から逃れて旅に出て、わざとらしく三等に乗ったせいであろう、ロシア南部のアスターポヴォで病に倒れ、駆けつけた伯爵夫人に看取られて生涯を終える。
淡々としているが、バランスの取れた構成とていねいな演出が好ましい。チェルトコフがポール・ジアマッティ。ヘレン・ミレンはトルストイ伯爵夫人を熱演し、クリストファー・プラマーの老トルストイぶりは見ごたえがある。 





Tetsuya Sato