2013年4月24日水曜日

オルド 黄金の国の魔術師

オルド 黄金の国の魔術師
Orda
2012年 ロシア 125分
監督:アンドレイ・プロシュキン

14世紀中葉、キプチャク・ハン国のハン、ティニベクが兄弟のディニベクによって暗殺され、ハンの位を継いだディニベクが母タイ・ドゥラに祝福を求めるとタイドゥラは祝福を拒んで斧で自分の指を切り落とし、そのタイドゥラがまもなく視力を失うとディニベクは四方八方から医師、魔術師のたぐいを呼び寄せて母の治療にあたらせるが、まったく効果を得られないのでモスクワ大公国に使者を送ってイヴァン大公を戦争の恐怖で脅して府主教のアレクシイをサライに呼び寄せ、アレクシイはタイドゥラの前に出て神に祈りをささげるが治療の効果を得ることができないために追放されて野をさまよい、思うところからサライへと送られるロシア人奴隷の列に加わってサライに戻り、そこで浴場の釜炊き奴隷となって苦しみを味わい、ディニベクはアレクシイにさらに大きな苦しみを与えるために毎日一人ずつロシア人奴隷を殺していく。 
形式としては典型的な回心の物語をなぞりながら、そこに現代的な諦観が加えられている。派手な場面はないし内容もおおむねにおいて地味ではあるが、カラフルな人物配置が楽しいし粘り強い演出が心地よい。視覚的にもきわめて豊かな大作であり、再現されたサライの街並みやモンゴル人の風俗、習慣などは実に見ごたえがある。 


Tetsuya Sato