2013年4月14日日曜日

ジェーン・エア

ジェーン・エア
Jane Eyre
2011年 イギリス/アメリカ 120分
監督:キャリー・ジョージ・フクナガ

孤児となったジェーン・エアは叔母のリード夫人に養育されていたが、ジェーン・エアを嫌ったリード夫人によってローウッドの施設に送られ、そこで教育を終えるとそのまま施設の教師となり、それからソーンフィールド屋敷の家庭教師として招かれて当主のロチェスター氏と出会い、ジェーン・エアに愛情を感じたロチェスター氏はジェーン・エアに求婚するが、ロチェスター氏にはすでに妻がいて、しかも狂人となって屋敷に幽閉されていることが暴露され、事実に衝撃を受けたジェーン・エアは屋敷から飛び出して荒れ野をさまよい、行き倒れとなりかけたところで牧師のセント・ジョンに救われ、セント・ジョンの紹介で村の学校の教師となり、そうしていくうちに今度はセント・ジョンに求婚されるので、ジェーン・エアはセント・ジョンの求婚を拒み、セント・ジョンの前から逃げ出してソーンフィールドの屋敷を訪れると屋敷は焼け落ちていて、家政婦の言葉からロチェスター夫人が火事で亡くなったことを知ったジェーン・エアは火事のせいで盲目隻腕となったロチェスター氏の前に立ち、それから手を差し伸べる。 
ジェーン・エアを演じたミア・ワシコウスカが地味な顔立ちの下に多彩な表情を隠していて、この演技がすばらしい。ロチェスターを演じたマイケル・ファスベンダーも忍耐強い演技でこの混乱したキャラクターに整合性を与えている。セント・ジョンがジェイミー・ベル、ロチェスター氏の家政婦頭がジュディ・デンチ、監督は『闇の列車、光の旅』のキャリー・ジョージ・フクナガで、くすんだ光をまとう静謐の底に沈んだヒロインの感情をたくみにすくい上げる手つきにはただただ舌を巻いて見入っていた。演出、演技、撮影、時代性を帯びた人物の所作、よどみのない文体と、どこを取っても第一級の作品で、ただ、幼稚な人形芝居のような原作だけはやはりどうにもいただけない。 



Tetsuya Sato