2013年4月12日金曜日

ラストデイズ・オブ・サードエンパイア

ラストデイズ・オブ・サードエンパイア
Edelweiss Pirates
2004年  ドイツ・スイス・オランダ・ルクセンブルグ 97分
監督:ニコ・フォン・グラッソウ

1943年、爆撃でほとんど瓦礫の山と化したケルン。リプケ家の父親は出征しており、長男も同様に出征して戦死、次男のカールは反ナチ抵抗グループ「エーデルワイス海賊団」の一員として今日もヒトラーユーゲントと戦ったり、連合軍の爆撃が始まると白ペンキを抱えて飛び出していって壁にアジテーションを残したり、といったことをやっていて、三男のいささか愚直なペーターはヒトラーユーゲントに入ってエーデルワイス海賊団を追いかけている。そのエーデルワイス海賊団はある日、負傷した囚人のハンスを拾い上げ、カールが恋焦がれている女性ティリーが看病することになる。ハンスは速やかにティリーと親密になり、それを知ったカールは心中穏やかでないが、このハンスは爆破の技術を持ち、奇妙な行動力があって地下社会とも連絡があり、しかも明らかにぶち切れていて、どうやら個人的な復讐心からゲシュタポ本部の爆破計画を立ち上げるので、エーデルワイス海賊団は自然に陰謀に巻き込まれる。
エーデルワイス海賊団とその周辺のすさんだ空気が半端ではない。泥酔した状態で銃を手にして現われて「ナチ狩りに行こうぜ」と気勢をあげ、車で町を飛ばしながら制服を着た連中に発砲したりする。そうするとナチが頭を抱えて逃げていくのである。ほぼ全編にわたって背景は廃墟、そこをうさんくさい連中がうろうろするあたりの雰囲気はよく出ていたように思うが、やや性急な文体が少々気になった。もう30分くらい長くてもよかったのではあるまいか。 




Tetsuya Sato