2012年6月28日木曜日

極限水域

極限水域
Pervyy posle Boga
2005年  ロシア 95分
監督:ヴァジリ・チィギンスキー


1944年。レニングラード包囲を生き延びたひとりの娘がフィンランドに置かれたソ連海軍の潜水艦基地にたどり着き、そこの食堂に職を得て、潜水艦の若き艦長で英雄のアレクサンドル・マリニンに恋心を抱く。ところがマリニンは町に住むスウェーデン人の娘と交際を始め、マリニンの過去を知るスメルシュの少佐は妙に手間のかかる工作を進め、マリニンはスウェーデン娘に過去を語り、スメルシュの少佐の罠にはまって逮捕される。マリニンは護送されることになるが、そこへドイツ軍輸送艦隊接近の知らせがあり、マリニンは仮釈放されて再び潜水艦の指揮を取る。
語り手の娘は手の届かない恋と最初から決め付けて勝手にロシア的悲嘆に浸り、主人公マリニン艦長はいまひとつキャラクターに魅力がなく、スメルシュの少佐も迫力に乏しい(まさか最後になって心を入れ替えるとは)。『シュトラフバット』でバハンのグリモフをやったユーリ・ステファノフが潜水艦の甲板長の役で顔を出していて、結局このひとがいちばん見栄えがしたような気がする。潜水艦の登場場面はそれほど多くはないが、細部はそれらしい感じであった。戦闘シーンはやや迫力に欠けるものの、射程距離が届かずに自沈する魚雷という珍しい場面が登場する(ついでに言えばスメルシュの自作自演劇の舞台裏、という場面も珍しい)。 






Tetsuya Sato