2012年6月21日木曜日

スパルタ総攻撃

スパルタ総攻撃
The 300 Spartans
1962年 アメリカ 114分
監督:ルドルフ・マテ


紀元前480年のいわゆるテルモピュライの戦いに材を取り、冒頭、まずクセルクセスの軍勢がヘレスポントスを渡り、続いてコリントスではギリシア諸国の会議があり、スパルタが出兵を決定し、いきなりテルモピュライになだれ込んでいる。
主要な登場人物はギリシア側がレオニダス、テミストクレス、ペルシア側がクセルクセス、デマラトス、アルテミシア、ヒュダルネス、マルドニオス。レオニダスは取り敢えずスパルタ人に見えたし、クセルクセスもまた取り敢えずはアジアの専制君主のように見えた。テミストクレスはアテナイの老いた政治家としてのみ描かれ、アルテミシアはなぜかクセルクセスの情婦に位置づけられている。トラキスのひとエピアルテスも登場して、間道の所在をペルシア軍に報告する。
戦略的な状況は伝えられているところとは大きく異なるものの、当時のギリシアの政治状況、スパルタの特殊性などに言及し、それなりに背景は組み上げている。そのプロセスを見せる前半は決して悪くはないものの、後半、テルモピュライに話が移るとかなりだれてくる。ギリシアでロケを敢行した模様だが、劇中に現われるテルモピュライは海沿いではなくどこかの湖畔で、周囲の地形はかなりなだらかで広がりがあり、狭隘には見えなかった。スパルタ軍は最後までまともな密集体形を作ることがなく、得意の後退戦術もおこなわず、戦闘シーンは総じて迫力がない。お約束でスパルタ兵のロマンスのようなものも織り込まれているが、これも格別の機能を果たしておらず、失策が目立つ。クセルクセスの幕屋のなかでおこなわれる変なベリーダンスもいただけない。






Tetsuya Sato