2012年6月24日日曜日

アタック・ザ・ブロック

アタック・ザ・ブロック
Attack the Block 
2011年 イギリス/フランス 88分
監督:ジョー・コーニッシュ


南ロンドンのあまり治安のよろしくない一帯にある団地で十代の男の子五人組がナイフをちらつかせて強盗のようなことをしていると空からなにやら落下してきて間近にある車を粉砕し、そこから牙を並べた化け物が現われるので早速叩き殺してテレビの自然番組に詳しいマリファナの売人のところへその死体を運んでいくと、これは地球の生物ではないからエイリアンではないかという話になり、そのエイリアンよりもさらに大きくてさらに凶暴な真っ黒い化け物の群れが団地に現われて暴れ出すので、この団地(ブロック)を守るのは俺たちだ、ということで子供たちがナイフ、鉈、花火などを武器にエイリアンとの戦いを始める。 
マリファナの売人で団地の部屋に強引に作られた温室の番をしているのがニック・フロスト。戦う子供たちにブロックのボス(自称)、9歳半のチビ二人組(自称、問題児と乱暴者)、少々言葉の汚い看護師などがからみ、限定された空間と短いタイムスパンをヒップホップのリズムを加えた気の利いた素描で埋めながら、コミカルな描写もほどよく交え、団地社会の重たい現実にもきちんと言及し、それにもかかわらず、やっていることは意外なくらいに正攻法のモンスター映画、という器用に作られた映画である。ただキャラクターが確実に構築されていて、文体が非常にしっかりとしているので、いろいろと盛り込んでいる割には小手先の仕事に感じられない。だから背景がリアリティを保つのであろう。モンスターは非常にシンプルな造形ではあるものの、斬新でインパクトを備えているし、凶暴さも半端ではない。よくできた映画だと思う。 


Tetsuya Sato