2012年4月19日木曜日

ミノタウロス

ミノタウロス
Minotaur
2006年  イギリス・ドイツ・ルクセンブルグ・フランス・スペイン 92分
監督:ジョナサン・イングリッシュ


太古、ミノス王国では王妃と牛の交合から生まれたミノタウロスを守護神としてあがめ、ミノタウロスに食べさせるためにテナの村から毎年八人ずつ生贄を求めていたが、前年の生贄として連れ出された恋人を救い出すために村長の息子テオが生贄に混じってミノス王国を訪れ、ミノス王国の王女の助けを得てミノタウロスと戦う、というなにかと似ていなくもないようなストーリーで、クレジットを見ると原作はテーセウスとミノタウロスの話、ということになっているが、そのゲルマン的な再話と考えたほうがまだ抵抗がない。全体にかなりの安普請で、生贄を差し出している村、というのがどこか北方の(たぶん北ドイツの)寒村だし、地下迷宮というのはわびしいハリボテの洞窟で、ダイダロスが関与したような気配はどこにもない。その迷宮にいるミノタウロスはミノタウロスというよりもただの雄牛である。ちなみにこの洞窟にはなぜか爆発性のガスが流れていて、最後はミノタウロスもその真上の王宮も爆発する。内容について言えば、夏休み中にうっかり洞窟に入り込んで出口を見失ったハイカーが怪物に襲われるといういつものパターンで、例によって上映時間を埋めるためにいさかいをしている、という感じに限りなく近い。 




ちなみにこの映画の監督ジョナサン・イングリッシュの新作『Iron Clad』は13世紀イギリスを舞台にした血まみれチャンバラ映画で、ジョン王の役でポール・ジアマッティが出演している。期待していいものかどうか。






Tetsuya Sato