2012年4月6日金曜日

キング・オブ・キングス

キング・オブ・キングス
King Of Kings
1961年 アメリカ 178分
監督:ニコラス・レイ

イエスの誕生から処刑、復活までを描く。ジェフリー・ハンターのイエスは若々しくてたくましく、眼光が鋭い、という感じであろうか。演技の軽さがたまに見えるが、それなりに雰囲気が出ていて悪くない。山上の垂訓の場面、ピラトの裁判の場面はなかなかに見ごたえがある。バラバはゼロテ党の指導者として登場し、イスカリオテのユダはバラバの仲間として現われて実用的な理由から(追い詰められれば彼も奇跡を起こして城壁を砕くであろう)イエスを裏切る。ただし全体を通じて言えばニコラス・レイの演出は個性が乏しく、強さがない。そしてこれは監督の責任ではないが、やはりメル・ギブスンの『パッション』を見たあとでは処刑の場面は迫力を欠く。それにああやって上腕をロープで支えてしまったら、胸腔に圧力が加わらないのでいつまで経っても死なないと思う。 


Tetsuya Sato