2012年4月8日日曜日

聖母マリア

聖母マリア
Mary, Mother of Jesus
1999年 アメリカ 88分 TV
監督:ケヴィン・コナー

マリアはヨゼフとの結婚を前に御使いから受胎を知らされ、また不妊であるはずのエリザベトがすでに妊娠六ヶ月であると知らされるので、マリアはエリザベトの家を訪れてヨハネの誕生に立ち会い、マリアもまた受胎を自覚して自宅に戻ってヨゼフのもっともな疑念に出会い、そのヨゼフは夜のあいだに御使いの声を聞いて心を改め、マリアとヨゼフはベツレヘムを訪れ、マリアは馬小屋でイエスを産み落とし、そこへ羊飼いが現れて神の子の誕生を祝福し、東方の三博士が現れて贈り物と警告を残し、ヘロデ王はベツレヘムの嬰児虐殺を命令し、エジプトに逃れたヨゼフとマリアは十二年後、少年となったイエスをつれてガリラヤへ戻り、それから十八年後、イエスは母の勧めにしたがってヨハネの洗礼を受けて使命を悟り、荒れ野へ出て四十日後に戻ると弟子をつれて布教を始め、カペルナウムで奇跡をおこない、エルサレムでは歓迎を受け、息子とともにエルサレムを訪れたマリアの前にはマグダラのマリアが現れてイエスが逮捕されたことを知らせ、マリアの前でイエスはゴルゴダの丘への道を進み、磔刑にされて息絶えると三日後によみがえり、マリアはイエスの姿を認め、すべきことは始まったばかりであると使徒たちに語る。
聖母マリアが主役なので、カナの婚礼はあっても山上の垂訓はない。最後の晩餐もその場にはいなかったので、逮捕をあとから知らされるだけである。主要な関心はイエスの母としてのマリアという人物の造形にあり、信仰において義しく、与えられた試練に対して自覚的に行動し、息子に対して明確な影響を与えていく。90分足らずという短い尺ではあるが、ケヴィン・コナーはベテラン監督らしい要領のよさで場面をまとめ、好ましい聖書物語に仕上げている。ちなみにイエスはクリスチャン・ベイル。




Tetsuya Sato