2012年4月13日金曜日

聖衣

聖衣
The Robe
1953年 アメリカ 124分
監督:ヘンリー・コスター

ティベリウスの時代の末期、元老議員の息子マーセラスは奴隷市場でカリギュラと競り合ってギリシア人奴隷ディミトリアスを落札し、そのことでカリギュラの恨みを買ってパレスチナの地へ飛ばされ、エルサレムを訪れると棕櫚の葉を持つ人々がロバに乗った男を迎えるところを目撃し、間もなく男はピラトによって逮捕され、マーセラスはピラトの命令にしたがって男を十字架にかけ、十字架の下でサイコロ賭博に興じて十字架にかけられた男のローブを賭けによって手に入れるが、そのローブを肩にかけると激しい恐怖を味わって夜毎に悪夢にうなされるようになり、皇帝の召還を受けてカプリを訪れると皇帝の前でも醜態をさらし、問題を解決するためにはそのローブを焼却することが最善であると判断するが、ローブはディミトリアスの手にあり、ディミトリアスはマーセラスから逃れてエルサレムの地にあったので、マーセラスは皇帝の勅命を受けてローブを探すことになり、再びパレスチナにおもむいてカナの地を訪れ、そこでディミトリアスとの再会を果たして自分の恐怖の正体を知り、ペテロと出会って信仰を確かめ、ペテロとともにローマに戻って布教にあたり、皇帝となったカリギュラはマーセラスを捕らえて裁判にかける。
マーセラスがリチャード・バートン、マーセラスの恋人がジーン・シモンズ、ディミトリアスがヴィクター・マチュア、ペテロがマイケル・レニー。人物造形は通俗的でわかりやすく(カリギュラとの対比のためか、ティベリウスは立派な皇帝ということになっているが、それではカプリにいる説明がつかないであろう)、状況は全体に単純化され、内容は盛りだくさんでよどみがなく、ところどころに印象的な場面が効果的に挿入されていて、イエスに逮捕の危険を知らせるために走るディミトリアスにイエスがすでに逮捕されたことを知らせる男は名をたずねるとユダであり(しかも名乗ると雷鳴がとどろく)、そのユダが立ち去る画面中央の奥には木が見えているという具合である。舞台となるセットの数は決して多くはないものの、いずれも仕上がりは壮麗で無駄なく使われ、遠景に見えるエルサレムやカプリはマットアートではなくてセットの壁に描かれた背景画が使われているが、これが意外なほど見栄えがよい。 



Tetsuya Sato