2012年4月10日火曜日

パッション

パッション
The Passion Of The Christ
2004年 アメリカ・イタリア 127分
監督:メル・ギブソン

ユダの裏切りからイエスの磔刑、復活までを描くキリスト受難劇の二十一世紀劇場版。ユダヤ教への一応の配慮など新しい要素も見受けられる(異論はあろうが)ものの、基本的には近代以前のデザインが採用されていて、だから十字架の上のイエスは東欧かどこかの教会の十字架象のように見えるし、出血の量もものすごいし、異教徒はやはり異教徒なのである。画面のテンションは高く、映像は真摯で見ごたえがあり、アラム語とラテン語で再現されたダイアログはきわめて興味深い。しかしキリストの受難を古拙に描くというあまりにも明瞭な目的のせいで作家性は認めにくい。 



Tetsuya Sato