2012年12月27日木曜日

グラバーズ

グラバーズ
Grabbers
2012年 イギリス/アイルランド 94分
監督:ジョン・ライト

北アイルランドの海に浮かぶいかにも妖精じみた小さな島の沖合に宇宙から飛来した怪物体が落下し、その光を見た漁船が近づいていくと乗組員はひとりまたひとりと海に引きずり込まれ、翌朝、島の海岸には切り裂かれたゴンドウクジラの死体が山ほどもあがり、ロブスターの罠には未知の怪生物がひっかかり、これはなんだといぶかっているうちに今度は島で住民がひとりまたひとりと消え、島の警官と島の海洋環境学者が調べていくと怪生物の存在があきらかになり、しかもその怪生物は凶暴で血を吸う習性を持ち、ただし血を吸われた人間の血中アルコール濃度が0.2パーセントに達していると血を吸った怪物のほうが引っくり返るということもわかるので、だったら飲んだくれていればいいというようなことになり、島中の人間を島でたった一軒のパブに集めて飲めや歌えの大騒ぎをしていると問題の怪物が大小取り混ぜ、嵐のなかを大挙して押し寄せてくるので飲んだくれて呂律がまわらない上に集中力もあやしい人びとが立ち向かう、という、たぶんアイルランド人しか思いつかないような種類の「怪獣映画」で、緊迫した場面に展開する酩酊したカメラワークがなかなかにすごい。
モンスター映画における演出の基本はしっかりと押さえ、警官、科学者ほか島の住民のキャラクターは酔っぱらっても大丈夫なようにしっかりと立たせ、プロットはひたすらにシンプルにしておもにキャラクターとダイアログで持たせるところに自信のほどがうかがえる。怪物の造形、挙動などもけっこうな仕上がりで、これは大満足。 





Tetsuya Sato