2012年12月1日土曜日

シューテム・アップ

シューテム・アップ
Shoot 'Em Up
2007年 アメリカ 86分
監督:マイケル・デイヴィス

クライヴ・オーウェンがバス停のベンチに景気の悪そうな様子で腰掛けてニンジンをかじっていると、目の前を産気づいた女性があたふたと駆け抜け、それを銃を持った男が追いかけていくので、クライヴ・オーウェンは罵りながら立ち上がって現場に踏み込み、男を片付けて女を救うと銃を持った黒い服の男たちがわらわらと現われ、しかも女のほうはいよいよ出産に入るので、クライヴ・オーウェンは女を励ましながら襲い掛かる男たちを端から撃ち、そうしていると女は男の子を産み落とし、そこへポール・ジアマッティがなんだか巨大なピストルを持って現われて子供を渡せと要求するので、クライヴ・オーウェンは子供を抱えた産後の女を抱えて逃げ、女が命を落とすとクライヴ・オーウェンが子供を抱えて逃げ、FBI仕込みの行動科学をあやつるポール・ジアマッティが手勢を連れてしつこくしつこくあとを追い、とにかくあとからあとから銃を持った黒い服の男たちがわらわらわらわらと現われるので、クライヴ・オーウェンがそれを片端からやっつける、というのをほぼ全編にわたっていろいろとやる。出演者の大半は撃たれるために出てくるのである。
かなりおばかな映画だが、そのおばかの徹底ぶりは賞賛に値すると思う。荒っぽいプロットには定石どおりに武器製造会社の陰謀だの上院議員の秘密などが盛り込まれ、微妙にコストパフォーマンスの悪いところやクライヴ・オーウェンとモニカ・ベルッチのやりとりあたりになんだか昔のジョン・フリンのタッチを思い起こさせるようなところがあり、ああ、映画が好きなんだなあ、とこれは正直に感じられる。




Tetsuya Sato