2012年12月24日月曜日

カニング・キラー 殺戮の沼

カニング・キラー 殺戮の沼
Primeval
2007年 アメリカ 94分
監督:マイケル・ケイトルマン

内戦下のブルンジで巨大なワニがひとを食べて暴れていて、爬虫類学者がそれを生け捕りにするというのでCNNならぬNNCが独占取材をくわだて、三人のクルーを現地に派遣する。政府軍の兵士に守られてフツ族系民兵の交戦しながらルシジ川を北上し、こういう果てた場所によく出現するユルゲン・プロフノウをガイドに雇い、現地に到着して問題のワニに遭遇するとこれがたいそうな大物で、捕獲用の檻は獲物に壊されてしまうし、近所ではフツ族系民兵が村人の虐殺を続けているし、ということで捕獲をあきらめて脱出にかかるとフツ族系民兵が襲ってきて、銃弾は飛んでくるわ、ロケット弾は飛んでくるわ、という具合なので、ほんとに恐ろしい思いをした、というような話である。
で、ワニが巨大化して人間を襲うようになったのも、実は内戦と虐殺と関係していて、大量の死体が川に流されたからだ、という説明がついている。つまりこれは「ルワンダもの」の変化球で、獰猛な人食いワニもまた人間の行為の犠牲者だったのである。で、そういうジャーナリスティックな御託を思い出したように並べていると、やっぱりワニが出てきて大暴れをして、くぼみにはまり込んだレンジローバーの運転席で例によって、動けえ、などと叫んでいるうちにワニにオカマを掘られたりしているので、つまり「ルワンダもの」は言い訳なのであろう、とこちらは考えることになる。しなくてもいいような言い訳をしながら作った映画なので、どっちつかずの内容になり、どっちつかずだからなのか、もともとなのかはわからないが、妙に気取った語り口も不器用で、思いついたように右や左へ振れまくる。というわけであまり感心しなかったが、「ルワンダもの」としてはとにかく、「巨大ワニもの」としては破格の予算が投入されており(ワニがゴム製のおもちゃだったことがあるからね)、ワニのCGもよく出来ている。





Tetsuya Sato