2012年12月14日金曜日

ポランスキーのパイレーツ

パイレーツ
Pirates
1986年 フランス/チュニジア 166分
監督:ロマン・ポランスキー

16世紀か17世紀初頭のカリブ海、悪名高い海賊バーソロミュー・レッド船長は諸般の事情で船を失い、どうやら何かを勘違いをしているフランス人の子分とともに筏で洋上を漂っていたが、すでに食料は尽き、水は尽き、筏のそばにはサメが現われ、空腹に負けたレッド船長は腹を満たさんものとしてついに子分に襲いかかり、子分は逃れようとして筏のマストをよじ登り、レッド船長は逃れるところを阻もうと剣でマストを倒しにかかり、そこへスペイン船ネプチューン号が姿を現わすので助けを求めて近づいた二人はすぐさま捕らわれの身となって営倉にぶちこまれるが、船のコックから事実を知らされて営倉の壁に開いた穴から隣室を覗くと、そこには黄金色に輝くカパテク・アヌアクの玉座が神々しく鎮座していて、法感覚に乏しいレッド船長はこれこそ自分の所有物であるとただちに確信し、この黄金の玉座を手に入れるためにあの手この手の画策を開始するのであった、というような話で、ウォルター・マッソー扮する凶暴無比なレッド船長が手段を選ばずに無類の活躍をする。
スペイン人の冷酷ぶり、海賊の極悪非道ぶりが絵に描いたようで、そこはなかなかに楽しめるものの、パッケージどおりにコメディだと思って見始めると肩透かしを食う可能性がある。ポランスキーが考えている笑いというのは、どちらかと言うと人間が無様さを発揮する場面にあるようで、それはそれで理解はできるものの、ストレートに映像化されてしまった場合、結果としてはあまりにも文学的になりすぎて、そのせいで笑えないということになるのである。一方、そのつもりで見るならば当然ひとかど以上の映画になっているし、復元されたガレオン船だけでも見応えがある。 



Tetsuya Sato