2015年1月9日金曜日

Plan-B/ 顔

S2-E15
 男は顔に痒みを感じて鏡を見た。頬が赤くなっている。しばらくすると腫れ上がって、痒みは痛みに変わり始めた。男はあわてて病院へゆき、医師は塗り薬を処方した。男は薬を塗り続けたが、腫れはまったく治まらない。数日後の朝、目覚めとともに痛みとは異なる異様な感覚を味わって、鏡を見て思わず頬に手を当てた。口の横に新たな頬が膨らんで、そこに口のようなものができていた。その口のようなものに指を這わせると、その口のようなものが口を開けた。それは口だった。男は自分の口に指を入れた。指の先で探ってみたが、つながっているわけではないようだ。もう一つの口にも指を入れた。どうやらどこにもつながっていない。穴が開いているだけで、歯もなかったし、舌もなかった。男は頬に大きな絆創膏を貼りつけて病院へいった。医師は塗り薬を処方した。頬の痛痒感が強くなり、男は眠ることができなくなった。気がつくと新しい口のなかに舌ができていた。歯も生えそろった。口の上に突起状のものが現われて、それは間もなく鼻になった。その鼻梁に恐るおそるに指を這わせて、こめかみのあたりに小さなふくらみができているのに気がついた。指でつつくと、まばたきをした。

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