2015年1月30日金曜日

Plan-B/ 実験

S2-E29
実験
 博士は新鮮な死体が出るのを待っていた。若者の死体が望ましかった。病気ではなくて、怪我で死んだ若者の死体が望ましかった。死刑囚の死体でもよかったが、その国の開明的な政府は最近死刑を廃止していた。死刑の廃止と同時に始まった全国安全キャンペーンがなぜか成果を上げていて、墓場には老衰で死んだ者や病気で死んだ者ばかりが集まってきた。博士は業を煮やして、死体を自分で作ることにした。博士は自分の行為に興奮したが、なにしろ不慣れなので、すぐに露見して追っ手がかかった。博士はすべてを捨てて山に逃れ、革新的な実験を阻む愚かな人類に復讐することを誓ったが、復讐を果たす間もなく警官隊に包囲されて射殺された。博士の死体は医学の発展のために大学の研究室に送られた。

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