2012年7月16日月曜日

ピラニア リターンズ

ピラニア リターンズ
Piranha 3DD
2012年 アメリカ 83分
監督:ジョン・ギャラガー


ヴィクトリア湖の事件から一年後、同じアリゾナ州のクロス湖周辺で成人向けのストリップ・バーを併設したろくでもないウォーターパーク『ビッグ・ウェット』がオープンするが、プールの水を地底湖からくみ出していたので、その地底湖からピラニアの大群が押し寄せてくる。監督は『フィースト』三部作のジョン・ギャラガー。
冒頭、ゲイリー・ビューシイとクルー・ギャラガー(監督のパパ)の老人二人が夜中に牛を探して湖に入ってピラニアに食われ、公序良俗にことごとく楯突くプールではライフガードが本人役のデヴィッド・ハッセルホフで、子供がピラニアに噛まれても「小僧、『ナイトライダー』を知ってるか」などと言っているだけで、これがまったく役に立たない。
自称フィッシュハンター、デヴィッド・ハッセルホフのばかばかしいいじり方(ご本人も悪乗りをしている)も含め、これは間違いなくジョン・ギャラガーの作品であり、つまりキッチュで、安っぽくて、せせこましくて、『ピラニア3D』でアレクサンドル・アジャが示したような度を超して悪趣味なカタストロフはどこを探しても見つからない。ウォーターパークでのパニックシーンもあっさりとしていて、そしてここがジョン・ギャラガーらしいところだけれど、まったく別種の悪趣味が顔を出して、ピラニアがどうこう、という以前に軽薄な人間どもは勝手に自滅して勝手に血しぶきを噴き上げる。シリーズ二作目という意味ではあきらかに観客の期待に背いているが、監督は自分の作風に忠実にしたがい、自分の作品を仕上げている、と言うべきであろう。どことなくたどたどしい手つきがどことなくほほえましい(ほめていいのかどうか、わからないけど)。


Tetsuya Sato