2012年7月4日水曜日

12人の怒れる男

12人の怒れる男
12
2007年 ロシア 160分
監督:ニキータ・ミハルコフ


法の頭上にロシア的な精神が輝いているところがすぐれてロシア的であり、したがって登場する陪審員も決して無名の個人にはとどまらず、むしろ進んで自己を開陳し(いや、その開陳ぶりがすごいのである)、法廷が提供する情報はロシアの現実に関する手がかりとなり、それはそのまま陪審員たちの地雷原と化していく、というところはやはりアジアなのであろう。案の定、近代的な法感覚は存在しないので、オリジナルが示したような無名の個人の実用性を安易になぞることはできないのである(ナイフの持ち方と証人の視力くらいであろうか)。構成はきわめて構築的で、撮影が美しく、編集がうまい。そして俳優が実に見事な仕事をしている(ミハルコフ本人はとにかくとしても)。ということで、見ごたえのある「ロシア映画」になっていた。カフカスの外科医のナイフさばきが抜群にかっこいい。
12人の怒れる男 [DVD]

Tetsuya Sato