2012年7月5日木曜日

ナチスの墓標 レニングラード捕虜収容所

ナチスの墓標 レニングラード捕虜収容所
In Tranzit
2008年 ロシア/イギリス 113分
監督:トム・ロバーツ


1946年の冬、レニングラードにある女性用の中継監獄にドイツ軍捕虜が50人ほど送られてくる。監獄にいるのは所長以下、警備兵も民間の自由雇用人も女性ばかりで、ロシア側は捕虜をファシストとして扱いはするものの、間もなくちらほらと恋が芽生え、所長は所長でNKVDの大佐に恋心を抱き、そのNKVDの大佐は捕虜のなかにSSの戦犯がいると主張して監獄の医師に諜報活動を要求し、その医師の夫は戦傷で精神の均衡を失って監獄の門衛をしながら奇怪な行動を取り、それはそれとして独立採算を求められた中継監獄では捕虜をユダヤ人が管理している鉄道車庫に派遣するが、そのユダヤ人の提案でダンスパーティが催されることになり、捕虜には楽器が与えられ、残った捕虜はパーティに招待され、レニングラードの女たちと捕虜とのあいだにも恋心が芽生え、その隙間でNKVDの大佐が戦犯逮捕のための画策を進め、潜伏中の戦犯は卑劣な罠を仕掛けて分相応の最期を遂げる。
状況は面白いものの、どうにもとりとめがないのである。ロシア的情感に流すならば、余計な文脈を与えるよりもスケッチの積み重ねに徹したほうがよかったし、状況の遷移を扱うならば情感はむしろ余計であろう。両立させるには、あきらかに演出力が不足していた。NKVDの大佐の役でなぜかジョン・マルコヴィッチが顔を出している。 




ナチスの墓標 レニングラード捕虜収容所 [DVD] 
Tetsuya Sato