2012年3月30日金曜日

ガンバス

ガンバス
Sky Bandits
1986年  イギリス 93分
監督:ゾーラン・ペリシック

バーニーとルークの二人組は西部で銀行強盗を繰り返していた、というよりもダイナマイトの量をまったく加減する気がないので正確には銀行を吹っ飛ばしていたが、ある日、自分たちのダイナマイトの適量に見合う銀行を見つけて早速押し入ったところ、あっという間に御用になり、舌先三寸で逃げを打つと瞬時に軍隊に放り込まれ、西部戦線に送られる。第一次大戦中なのである。戦線をうろついていると目の前にドイツ軍の巨人爆撃機が浮かんでいるのでそれをぶつぶつ言いながらピストルで撃墜し、イギリスの航空兵と賭けをして飛ばしたことのない飛行機を飛ばし、空で迷子になって落ちたところがたまたまイギリス軍特攻部隊で、指揮官バノック大尉に妙な具合に気に入られて、というか強引に取り込まれる形でこの特攻部隊の一員となると、早速スイスへの逃亡を図るが、そのためには戦線を突破する必要があり、しかも上空にはドイツ軍の超巨大飛行船が雲に姿を隠して遊弋し(雲から潜望鏡を下ろして下界を覗いている)、それであれやこれやとしているうちに特攻隊と空中戦艦の決戦になり、ドイツ空中戦艦が機銃と大砲で弾幕を張り、ロケットを発射し、空中機雷を射出するなか、イギリス特攻隊が(本部からまともな飛行機を回してもらえないので)自家製の得体の知れない飛行機を連ねて突っ込んでいく。
秘密メカ満載という世界なのである。主人公二人の間抜けなキャラクターがなかなかに笑えるし、イギリス側、ドイツ側もそれぞれにキャラクターを立て、特攻隊の指揮官が「死と栄光を」と叫べば、空中戦艦の指揮官はわざわざ雲のなかから降りてきて「これが未来の戦艦だ、わはははは」などと笑い、特攻隊のマッド整備士は自分がドイツ軍にいると思い込んでいる。いささか不器用に作られた映画ではあるが、作り手の素材に対する愛着が見え、たいそう楽しくてほほえましい。 


Tetsuya Sato