2012年3月24日土曜日

バトルライン

バトルライン(2001)
Sword of Honour
監督:ビル・アンダーソン


第二次大戦前夜、フィレンツェに住むカトリックのイギリス人ガイ・クランチバックは戦争の気配を感じて本国に戻り、入隊を望んで多方面に志願するが高齢(35歳)を理由に断られ、偶然に助けられてハルバディア連隊の将校となって北アフリカ、クレタと歴戦し、クレタ撤退後は本国勤務を経てユーゴスラビアへ派遣され、パルチザンの対独戦を支援する任につく、というようなことをしているあいだに、この善良でまじめな主人公の周囲に奇怪な人物が次から次へと現われて勝手に奇怪なことをしでかすコメディである。出色はハルバディア連隊の准将で、北アフリカでもユーゴスラビアでもどこからともなく走り出て、たったひとりでドイツ軍と戦争を始めていた。
けったいな邦題がついているけどイヴリン・ウォー『Sword of Honour』三部作を原作とする3時間のTVドラマで、ペンギン版でも4センチ半くらいの厚みになる原作をどの程度刈り込んでどう改変を加えたのか、読んでいないのでまったく見当がつかないが、全編に漂う冷笑的な雰囲気はすぐれてイヴリン・ウォー的であり、そのあたりの気配は十分に移植されているのではないか、と勝手に推測している。登場人物はいずれもよく作り込まれ、ダニエル・クレイグは実直な主人公を実にいい感じに演じていた。面白い。



Tetsuya Sato