2012年3月27日火曜日

ドラゴンファイター

ドラゴンファイター
2002年 アメリカ 95分(ビデオオリジナル)
監督:フィリップ・J・ロス


12世紀初頭のイングランド。鎧の騎士たちが洞窟の奥でドラゴンを相手に至って生ぬるく戦っていると落盤が起こる。それからいきなり1000年後のカリフォルニア。核シェルターを改造して地下深くに作られた遺伝子工学の研究所にイギリスで発見された謎の生物の遺伝子が持ち込まれる。研究所では絶滅動物の復元などをもっぱらにおこなっていたので早速実験を開始してみると、これがもちろんドラゴンの遺伝子なので3時間ほどで歩き回って人を殺したり火を吹いたりするようになる。武器はまるで歯が立たないが、ところがこのドラゴンには一つだけ弱点があった。温血動物だから暑がりなので、冷たい空気を求めて空調装置の噴出し口に近寄ってくるという習性があった。それならば噴出し口を制御してドラゴンを出入り口から遠ざけて、その隙に脱出しようという話になってやってみると、なんと研究所自体が熱暴走を始めてしまう。そこで博士がぼそっと言うのだ。このまま放置しておけば広島の2分の1の規模の核爆発が2時間後に起こることになる。その後の「2倍じゃなくてよかったよ」という台詞はなかなかに気が利いていたが、つまり、この映画を作った連中は考えたりするのがあまり得意ではなかったらしい。こういう内容の映画でスプリット・スクリーンを使ってみるという妙に実験的な取り組みも、妙なだけに考えた結果ではなかろうと思うのである。
で、結局この博士が諸悪の根源で、やたらと尊大だったり嫌味だったりする割にはひどく頭が悪いので、これはきっと何かあるなと思っていたら案の定、正体は単なるドラゴン・オタクで記念に写真を一枚に撮りたかっただけなのであった。何かというとヒューズが飛んでしまうような安っぽい研究所でドラゴンを復元してはいけない。 


Tetsuya Sato