2012年3月7日水曜日

レジェンド・オブ・フォール

レジェンド・オブ・フォール
Legends of the Fall
監督:エドワード・ズウィック

19世紀末。アメリカ合衆国陸軍のラドロー大佐は自国政府のインディアン政策に反発して軍を退き、モンタナの山中で牧場の経営を始める。大佐と夫人の間には3人の息子が生まれ、やがて第一次世界大戦前夜、ハーバード在学中の三男が婚約者を連れて家へ戻る。三男というのは一家のアイドルであったが、理想に燃えるこの三男は大戦の勃発を知るとアメリカの参戦を訴える。だが政府に激しい不信を抱く父親は息子の考えを受け入れない。それでも長男と三男はアメリカの参戦を待たずにカナダで志願し、次男もまた弟を守るために志願する。この次男というのが少年の頃にハイイログマと一騎打ちをするような野生児で、上と下はまともそうなのに、こいつだけちょっとはずれているのである。そして案の定というか、三男は西部戦線で戦死し、そのことを悔やんだ次男は除隊後も船乗りとなって家へ戻ろうとしない。一方、長男は復員してから三男の婚約者に自分の気持ちを告白するが、婚約者の心はすでに次男の方へ傾いていた。そこへ次男が帰ってくるので、長きにわたる家族の軋轢がここに誕生し、長男は家を出て議員となり、次男も家を出て世界をさまよい、三男の婚約者はただもう不幸の中へ置き去りにされる。だいたいこれで話の半分という感じで、第一次大戦の後には禁酒法時代の話が続いている。次男坊役がブラッド・ピットで、説明では心の中にクマがいて、クマが雄叫びを始めるともうどうにもならないのである。そしてその証拠に目の前でドイツ軍に弟を射殺されると、その晩にはナイフを持って戦線を突破し、ドイツ兵の頭の皮を剥いでまわることになる。で、クマが雄叫びを始めるような事件が次から次へと起こるわけである。単細胞なほどの話の刈り込み方がやや気になったが、通俗的で面白かった。戦争の場面について言えば、監督がエドワード・ズィックだからやるだけのことはやるだろうと思っていたら、やっぱり短いながらもそれなりに力が入っていた。イペリットガスの砲弾が降り注ぐ中をドイツ軍の槍騎兵がマスクをかぶって突撃してくるのである。これはもう、やる気は認めなければならない。 


Tetsuya Sato