2012年1月23日月曜日

ガメラ対ギャオス

大怪獣空中戦 ガメラ対ギャオス(1967)
監督:湯浅憲明

日本道路公団では日本縦断高速道路の建設を進めていたが、その中部地区では富士山を間近に見る二子山で地元住民の反対に出会った。村長に率いられる反対派がごね得を期待して土地の売り惜しみを始めたからであったが、そこへさらに富士山が噴火し、噴煙に引かれてガメラが現われ、調査のために派遣されたヘリコプターは各界の代表を乗せたまま謎の光線によって撃墜され、二子山付近の墜落現場では死体が一つも見つからないという異常事態が発生する。それでも道路公団は工事の推進を求めて現地責任者を督励し、督励された責任者であるところの堤志郎は反対派住民との交渉をおこなうべく村へ入るが、敵対的な村人たちによって村長との会見を拒まれる。
ところでその村長には英一という名の孫があり、その英一はスリングショットを携帯して、鳥が飛び立てばそれを狙うという根っからの悪ガキなのであったが、いまは特ダネを求めて現われた記者に拾われ、道案内役として二子山を奥へ奥へと進んでいた。やがて二人の前には洞窟が現われ、その入口が怪しく光っているのを見て中に入る。ところがそこへ地震が起こり、記者は英一を洞窟に残して一人で逃げるが、その記者の身体はいきなり出現した怪物に掴まれ、記者は悲鳴を残して怪物の口の中に消えてしまう。残された英一にも危険が迫る。だがそこへガメラが現われ、死闘の末に怪物を撃退して英一を背中に乗せて飛ぶのであった。一連の光景を目撃した堤志郎は村長の家へ報せに走り、村長や英一の母親代わりの姉とともに車に乗って近所の遊園地へと急ぐ。観覧車の脇ではガメラが着陸して待っているので、堤志郎はゴンドラに乗り込んで英一を救い出すのであった。その英一と言えばガメラに乗ったことで一躍マスコミの寵児となり、もとよりカンの虫に祟られているのであろう、防衛本部へ聴取のために招聘されれば新たに現われた怪物を耳に触る甲高い声でギャオスと名付けて譲らない。
さて、そのギャオスに対して航空部隊による攻撃を開始されるが、山間に隠れて姿の見えないギャオスに対して空爆は成果がなく、それどころか光線を浴びた戦闘機はひとたまりもなく撃墜される。一方、村では牛や馬が姿を消し、後を追った牧童は正気を失って村へ戻る。脅えた村人たちは土地の売り時ではないかと村長の前に押し寄せるが、村長は承知しない。その村長の孫英一は堤に対してギャオスがおやつの時間の前には出現しないことを告げ、堤の通報によって対策本部はギャオスが夜行性であるという可能性に到達する。そこで東南アジアでの使用を目指して開発中の新式の照明弾を二子山上空で使用し、戦車部隊による攻撃を開始するが、山腹に現われたギャオスは翼によって強風を起こし、戦車部隊を殲滅した上で空高くへと舞い上がる。間もなくギャオスは名古屋に現われ、走行中の新幹線に襲いかかり逃げ惑う乗客を食べてしまう。だがそこへガメラが現われ、両者は空中での戦いを繰り広げ、やがて戦いの場は次第に伊勢湾へと移り、ガメラはギャオスの足を噛んで海中に引きずり込もうと試みる。そうしているうちに夜明けが訪れ、ギャオスの頭が怪しく光り、ついにギャオスは自らの足を切り捨ててねぐらへと飛び去っていく。
対策本部はギャオスが切り捨てた足を回収して研究し、ギャオスが紫外線に弱いということを突き止める。それを聞いた自衛隊はレンジャー部隊に紫外線灯を持たせて二子山に派遣することを提案するが、動物学を専門とする青木博士はそれは不可能であると一蹴し、代わりにギャオスを何かの台座に載せてぐるぐると回転させてすっかり目を回させて、その状態のままで朝を迎えさせればよいと提案する。それというのも英一少年が姉を引きずって会議室に現われ、博士にヒントを与えたからであったが、その台座として遊園地の敷地内にある回転式の展望台を使うように提案したのも英一少年なのであった。そこでギャオスをおびき寄せるための人工血液の開発が始まり、展望台のモーターが強化され、変電所の電力もまた強化される。一切の準備が整い、夜明け前、ヘリコプター部隊が人工血液を散布しながらギャオスのねぐらへ接近する。ギャオスは血の臭いによっておびき出され、人類の思惑どおりに展望台の上に乗って噴水から降り注ぐ血液を飲み始める。ギャオスを載せた展望台は最大の速度で回転を続け、効果があったのか、ギャオスは目を回してふらふらしているように見えなくもない。だが変電所で異常が起こった。作戦は失敗に終わり、ギャオスは朝日を嫌って巣穴へ戻る。
希望は断たれたように見えた。道路公団は高速道路のコース変更を告示した。村人たちは村長の家に押しかけ、村長の責任を詰問する。だが英一の母親代わりの姉が皆の前に立って謝り、皆の利益を考えてのことだったと弁明し、さらに英一が現われておもちゃを村人たちに投げつけると、村人たちも怒りを解いて立ち去っていく。村長は心を入れ替えて対策本部を訪れ、自分の山に火を放って火事を起こし、それでガメラをおびき寄せてギャオスを退治するという作戦を提案する。実を言うとこの作戦を思いついたのは英一であったが、村長の提案を聞いた道路公団の堤志郎はそれをすれば森林資源で二億円の損害になると警告する。村長は損害を恐れずに作戦を遂行するようにと要請し、作戦は実行に移され、道路公団は延焼防止のための伐採に参加し、山には火が放たれる。すると期待通りにガメラが飛来し、ギャオスはガメラに首根っこを掴まれて噴煙を上げる富士山の火口に引きずり込まれる。最後にきらめいた怪光線はギャオスの断末魔なのであった。道路公団はコースの変更を中止し、心を入れ替えた村人たちは土地を手放し、英一は飛び立つガメラに別れを告げる。



Tetsuya Sato