2012年1月22日日曜日

ガメラ対バルゴン

大怪獣決闘 ガメラ対バルゴン(1966)
監督:田中重雄

火星行きのロケットが隕石に衝突して爆発し、地球へ戻ったガメラは体内を電気エネルギーで満たすために東洋最大の発電所がある黒部ダムに襲いかかり、発電施設を破壊して炎で包み、燃え盛る炎を吸い込むと行き掛けの駄賃でダムを破壊して飛び去っていく。
さて、所は変わって大阪となり、平田一郎はかつて太平洋戦争中に兵士としてニューギニアにいたが、その折に巨大なオパールを発見し、後に日本に持ち帰ろうとたくらんで山奥の洞窟に隠しておいた。それから20年、平田は小野寺、船員の川尻、弟の圭介を仲間に入れ、足が不自由な自分は日本に残り、三人の仲間をニューギニアに送り込む。三人は山中の村を訪れ、問題の洞窟が虹の谷と呼ばれる場所にあることを知るが、そこは現地の人々にとって訪れてはならない場所であった。現地の村に移り住んで15年の日本人医師、その助手で日本語に堪能な現地の女カレンなどが先へ行ってはならないと説得するが、三人は禁を侵して谷に足を踏み入れて密林の奥で洞窟を見つけ、洞窟の中で隠されていたオパールを発見する。三人は計画の成功を喜ぶが、そのときには船員川尻の脚にすでにサソリがしがみついていた。小野寺はそれを目にしながらサングラスをかけて眼差しを隠す。川尻はサソリの毒にあたって絶命し、若い圭介は川尻の死を嘆く。その間に小野寺は洞窟に爆薬を仕掛けて一人脱出するのであった。
圭介は村の診療所で目覚め、村の女カレンから恐るべき事実を明かされる。オパールだと思っていた物体は実はオパールではないのであった。そのオパールを手にして小野寺は船に乗って一路日本へと向かっていたが、マラリアの症状に苦しみ、医務室で治療を受ける身となっていた。またジャングルで水虫を拾っていたので、医師からの勧めにしたがって赤外線灯を足に当てていた。船がようやく神戸に到着したとき、小野寺は船員仲間とともにマージャンを楽しんでいたが、船室に置き去りにされたオパールには消し忘れた赤外線が照射されていた。間もなくオパールの中からはトカゲのような生物が現われ、瞬時に巨大化して船内を火の海にする。小野寺はからくも難を逃れて岸壁に上がるが、オパールは船とともに沈んだと考え、迎えに出た平田にもそう告げる。そこへ海中から巨大な怪物が躍り出て神戸の港湾施設を破壊する。
怪物は長大な舌の先端から冷凍ガスを撒き散らし、周囲を氷の世界に変えながら大阪を目指して進んでいった。防衛部隊が出撃するが、冷凍ガスによって壊滅する。そこで司令官は気がついた。遠くから攻撃すれば、安全なのではあるまいか。そこで遠くにあるミサイル基地に攻撃命令が下されるが、そのとき、怪物は動物のカンによって危険を察知し、背中から虹を放出してミサイル基地を破壊する。これこそがバルゴンの虹であった。その虹に引かれてガメラが寄ってくるものの、バルゴンの冷凍ガスを浴びてガメラはもろくもくずおれる。
圭介とカレンの二人は空港のテレビで状況を知り、カレンはバルゴンに近づきたいと希望を言うが、圭介は代わりに小野寺を家に襲い、死闘の末に殴り倒して柱に固く結びつける。小野寺が兄夫婦を殺害したと信じていたからであったが、それは事実に相違なく、平田は小野寺の失言を聞き、そこから弟と川尻が実は小野寺に殺されたことを知って襲いかかり、死闘の末に夫婦そろって返り討ちにされたのであった。
圭介とカレンは防衛部隊に出頭し、バルゴンが水に弱いという弱点を告げる。またバルゴンはダイヤモンドの光にも弱いので、持参した5000カラットのダイヤモンドで琵琶湖に導き、そこでダイヤモンドを湖底に深く沈めれば、バルゴンもまたダイヤモンドを追いかけて湖底に深く沈む筈であった。そこでさっそくダイヤモンドをヘリコプターからぶら下げてバルゴンの鼻先に吊るしてみるが、期待したような効果はない。そこへ大阪府知事が現われてカレンを怪しみ、ダイヤモンドの真贋を怪しみ、ねちねちと嫌みを言って去っていくが、実はこのバルゴンは赤外線の照射を浴びて体質が変異したバルゴンであったので、ダイヤモンドのただの光には反応しないということが判明する。そこで天野教授が開発中の殺人光線の発生装置を改造し、ダイヤモンドを媒介に赤外線を照射するようにしてみると、バルゴンはおとなしくついてくるのであった。
いよいよ琵琶湖の湖畔が近づいてきた。水陸両用の先導車が湖水を割って進んでいく。バルゴンも湖に近づいてきた。だがそこへ欲に目がくらんだ小野寺がモータボートに乗って現われ、護衛の自衛隊員に発砲してダイヤモンドを奪い取る。そしてボートに乗って逃げ去ろうとするが、バルゴンの長大な舌にからめ捕られ、小野寺はダイヤモンドを抱いたまま悲鳴を上げて食われてしまう。ダイヤモンド作戦は人間の欲望に破れたのであった。
失意の圭介とカレンはミサイル基地の廃虚を訪れ、そこで鏡が無傷で残されていることに気づき、バルゴンの虹は鏡によって跳ね返されるのだと確信する。そこで防衛部隊は手近のパラボラアンテナに鏡を張り、そのまわりに無人の兵器を並べてバルゴンを攻撃、バルゴンの虹を誘発する。作戦は成功した。鏡に跳ね返されたバルゴンの虹はバルゴンの身体を痛めつけた。だが十分ではない。バルゴンは絶命に至らない。圭介は再度の攻撃を主張するが、天野教授は首を振る。動物は失策によって自分が傷つけば、同じ失策を繰り返さないのである。万事休すか。だがそこへガメラがやってきた。氷が溶けて、呪縛から逃れたのであった。ガメラは死闘の末にバルゴンを組み敷いて湖底に沈める。最後にきらめいた虹の光はバルゴンの断末魔なのであった。人類の危機は去り、圭介は時間の経過ともに色白になるカレンの手を取って、ともにニューギニアへと旅立っていく。

               (予告編は『大魔神』との二本立て)


Tetsuya Sato