2012年1月13日金曜日

恐怖のワニ人間

恐怖のワニ人間(1959)
The Alligator People
監督:ロイ・デル・ルース


新婚の夫婦ポール・ウェブスターとジョイス・ウェブスターが夜行列車に乗り込んで新婚旅行に取りかかっていると車掌が電報の束を持って現われ、ポール・ウェブスターは一通の電報に目をとめると表情を変え、態度も変えて次の停車駅で妻を置き去りにして姿を消し、まったく釈然としないジョイス・ウェブスターは消えた夫を探すために手を尽くし、夫の大学時代の住所を見つけ出してルイジアナの沼沢地へ分け入っていくと列柱のある立派な屋敷が出現し、そこに住むホーソーン夫人は夫の所在を訊ねるジョイス・ウェブスターを拒絶するが、その日は列車がないということでそこに一泊することになり、ジョイス・ウェブスターは部屋に閉じ込められて銃声を聞き、部屋から抜け出してピアノを弾く怪しい影を目撃し、翌朝、シンクレアと名乗る医師が微妙な誘導尋問を試みてくるといよいよここは怪しいと考えるので、強い調子でホーソーン夫人を問い詰めるとこの老婦人が実はポール・ウェブスターの母親であることが判明し、続いて医師の口から恐るべき生体実験の事実があきらかにされ、つまり飛行機事故で瀕死の重傷を負ったポール・ウェブスターはシンクレア医師がアリゲーターから抽出した蛋白質を処方され、その処置によって異常な再生能力を発揮して死の床からよみがえったが、ありがちな副作用によって肉体の爬虫類化が進行することになり、妻の前に再び現われたポール・ウェブスターは残酷な運命から逃れるために危険な放射線治療を要求し、母親と妻が見守る前でいよいよその治療が開始されるとそこへジョイス・ウェブスターに懸想したことでポール・ウェブスターの鉄拳を浴び、また、そのことでホーソーン夫人から解雇を言い渡された薄汚い森番で、ワニに左手を食いちぎられたことでワニを憎むことでは誰にも負けないロン・チェイニーJr.がポール・ウェブスターへの仕返しをたくらんで現われ、一切の制止を振り切って放射線照射の制御装置に駆け寄るので、制御装置は火を噴き、治療は失敗し、そしていったいどこをどうすればそうなるのか、ポール・ウェブスターは首から上がワニになる。神を畏れぬ実験がもたらした恐るべき悲劇なのである。いたってまっとうに作られた映画であり、語り口に破綻はないし、画面もおおむねしっかりしているが、いちおうディック・スミスが参加しているワニのスーツはあまり出来がよろしくない。


Tetsuya Sato