2011年12月20日火曜日

ジョージ・ミラー『ハッピーフィート2』(2011)

ハッピーフィート2 踊るペンギンレスキュー隊
Happy Feet Two
2011年 オーストラリア 100分
監督:ジョージ・ミラー

皇帝ペンギンの一党が例によって歌って踊っていると察するに地球温暖化の影響か、巨大な氷山が突然動き、歌って踊っていた皇帝ペンギンの一党を脱出不能な盆地に閉じ込めてしまうので、営巣地の外にたまたま出ていたマンブルとその息子のエリックなどが救出のために手を尽くす。プロットはないも同然と言ってもよいほどこじんまりとしているが、キャラクターはきわめて豊かで、細部が作り込まれ、絵は例によって雄弁であり、そして途中で顔を出す人間は例によって醜悪である。実際、何をどうすればこうなるのかと驚くほどに醜悪であり、これほど醜悪な生き物は北極から南極まで探してもほかにはないであろうと思えるほどに醜悪であるが、幸いなことに一作目のように見ているこちらのトラウマになるほど数が出てこない。一方、大量に登場する子ペンギンのふわふわとした和毛がどこまでも愛らしく、思わずふわふわしたくなるほどであり、そして子ペンギンのエリックが歌うプッチーニは泣ける。ペンギンたちが氷の上で悪戦苦闘している一方で、オキアミが二匹で群れから離れて食物連鎖の最底辺から頂点を目指して進化の旅に出かけるが、このオキアミの声がブラッド・ピットとマット・デイモンなのであった。大きなものから小さなものまで、よく目の届いた作品であり、言うまでもなく傑作である。 


Tetsuya Sato