2011年12月23日金曜日

ラオール・ウォルシュ『白熱』(1949)

白熱(1949)
White Heat
監督:ラオール・ウォルシュ


コディ・ジャレットとその一味はカリフォルニア州境で列車を襲い、郵便車にあった財務省の公金30万ドルを奪い取る。非常線が敷かれ、コディとその一味は一週間のあいだ隠れ家にひそみ、嵐をついて非常線を突破するが、一人の仲間を見捨てたことから一味の名前が割れてしまう。列車強盗事件では人死にが出ているので捕まれば死刑はまぬかれない。財務省の捜査官がコディを追い詰め、包囲網が狭まるのを知ったコディは先手を打ち、犯してもいない別の強盗事件で警察に自首してアリバイを作り、そのままその罪で服役する。そこで財務省は30万ドルの行方を探るために潜入捜査官ファロンをコディの房に送り込み、ファロンはコディの信頼を得て以降の行動を共にする。
冒頭の列車強盗のシーンから、ラオール・ウォルシュの演出はきびきびとしていて心地よい。そしてその軽快さはジェームズ・キャグニーのめりはりのある演技とよく融合し、作品にダイナミックなリズムを与えている。遺伝的な形質としての狂気の描き方は現代的な基準ではおそらく単純に過ぎるが、キャグニーの演技の乗りのよさとマーガレット・ウィチャリー(お袋)の卓越した存在感があるせいで疑問はほとんど感じさせない。この親子の関係では名場面がいっぱいで、刑務所の面会室の場面も忘れ難いが、刑務所の食堂の場面では実に見事な演出と演技が披露される。力のこもった作品である。
白熱 特別版 [DVD]

Tetsuya Sato