2011年12月17日土曜日

レミーのおいしいレストラン

レミーのおいしいレストラン(2007)
Ratatouille
監督・脚本:ブラッド・バード
天から料理の才能を与えられたネズミのレミーはすぐれた味覚と臭覚を持ち、前足を清潔に保つために直立歩行を選択している。そして間もなくパリのレストランにもぐり込み、無能な見習い料理人を操作して自分の才能を発揮する。ネズミが帽子のなかに隠れて、小さな前足で料理人の髪を掴み、一生懸命操作する様子はまるっきり巨大メカもののテイストであり、やはり『アイアン・ジャイアント』、『Mr.インクレディブル』とつなげてきたブラッド・バードの作品なのである。ややもすれば見過ごしがちなものをいとおしみ、いとおしむ気持ちから新しいなにかを生み出そうとする精神を真摯に扱っており、よく考慮された脚本が好ましい。舞台になっているパリは現代のようでもあり60年代のようでもあり、ちょっと古めかしい車が心地よくデフォルメされて走り回り、町並みの情景は美しく、映像は自信に満ちて心地よい。ネズミのレミーはほぼ完全にいわゆるネズミの外見をしていて、それが厨房を駆け巡って料理をする様子がなんとも愛らしく、きわめてよく訓練されたネズミの一族(しかも同じ個体は二つといない、ように見える)の恐ろしいまでの要領のよさがまた楽しい。 
レミーのおいしいレストラン [DVD]

Tetsuya Sato